赤ちゃんの中には、生まれつき代謝やホルモン異常の病気を持っていることがあり、適切な治療をしないと知能障害や発育障害などを引き起こすことがあります。しかし、これらの病気は早期の発見と治療によって、障害の発生を未然に防ぐことが期待でき、いち早くこれらの病気を見つけるための検査が「新生児マススクリーニング」です。
現在、日本では産まれてきたすべての赤ちゃんを対象に、生まれつきの病気を検査する新生児マススクリーニングが公費で実施されています。ここで対象となる病気は、お住まいの自治体によって異なりますが、今では約20種類に及びます。
新生児マススクリーニングは、産まれてから数日の間に、かかとに小さな針を刺して少量の血液を採る検査です。
ライソゾーム病は進行性のため早期発見と早期治療が重要となりますが、非常に稀な病気であり、病型によって症状が異なるため診断がつくまでに時間がかかることも少なくありません。新生児マススクリーニングによってこれらライソゾーム病を発症前の早い段階で見つけることで、障害が生じる前に治療を開始することが期待できます。
そして最近、希望される方には「ファブリー病」、「ポンペ病」、「ゴーシェ病」、「ムコ多糖症」などのライソゾーム病についても新生児マススクリーニングに組み込むことができる医療機関が増えています。任意検査であるライソゾーム病の検査費用は原則自費となりますが、比較的低価格であることが多いようです。
ライソゾーム病は、生まれつきライソゾームの中にある酵素がなかったり、酵素の働きが弱くなったりしているために起こる病気です。血液中の酵素を測ることによって検査しますが、ほとんどの医療機関では、新生児マススクリーニングで採った血液を使って検査を行うことができるため、赤ちゃんへ新たな負担が生じることはありません。