ポンペ病TOP患者さんとご家族へのメッセージ未来は自分の手で切り拓いてほしい

患者さんとご家族へのメッセージ

ページを印刷

患者さんとご家族の声

ポンペ病は、乳幼児の病気だと思われることが多いですが、あらゆる年齢で発症する疾患です。発症時期の違いにより、乳児型、小児型、成人型の3つのタイプがあります。Hさんはご長女が9歳で小児型ポンぺ病と診断されたとき、「長年原因がわからず不安だったので、診断がついてほっとした」といいます。娘にポンぺ病としっかりと向き合ってもらうために、親として何ができるかを考え続けてきたHさん。高校卒業を間近に控えるご長女との歩みと今後についてお話を伺いました。

病気のことを、包み隠さず説明した

すべてを病気のせいにしないでほしい――。当時、9歳。小学校3年生の長女に、すべてを話した。これからどうしようか、どうしていこうかを家族で話し合った。まだ小さな子どもだが、これから続く治療の理由を知らずにいることは不自然だろう。「運動も勉強も、病気のせいじゃない。きみの努力だよ」とは、いつも言っている。
1歳のとき、喘息と診断された。5歳の頃、検診で肝機能異常を指摘された。しかし、当時かかっていた中規模の病院では「このぐらいであれば、様子を見ましょう」と言われたという。「他の子に比べて成長が遅いな、とは感じていました。朝礼ではいつも一番前で、運動も苦手。でも他に異常はなく、まったく普通の女の子です。
他の子と違うとは思っていませんでした。ただ8歳になった頃、喘息でかかっていた医師に身長が伸びていないことを相談すると、成長ホルモンの問題かもと、専門クリニックを紹介されました。
結果は『少ないけれど、(成長ホルモンは)ぎりぎり正常範囲内』。様子を見ることになったのですが、1年たっても身長が伸びない。クリニックの先生から国立の小児専門医療センターを紹介してもらい、詳しい検査を受けることにしました」
そこで筋肉の病気が疑われ、筋組織の検査と血液検査を受けた。結果が出たのは約1ヵ月後。医師から告げられた「ポンぺ病」という言葉に、Hさん夫妻は「?」、まったく聞いたことのない病名だった。ただ、詳しい症状の説明を受けて、「そうだったのか」と納得したという。

治療法がある。それが心の支えに

Hさん夫妻は、次女を7歳で亡くしている。幼い頃から検診の結果やさまざまな症状からいくつもの病院に行ったが、診断はつかず、どこでも経過観察だった。今振り返ると、その症状は長女が診断されたポンぺ病の症状と酷似している。見送るしかできなかった幼い命。その経験があったため、長女の病名が特定されたときは「ほっとした部分もありました」。原因がわからず不安に包まれるよりも、希少疾患であれ診断がついたほうが気持ちを整理できる。
「低身長を除けば全くの健康体で、生活に支障はありませんでした。それに、酵素補充療法という治療法があり、継続すれば今の状態を維持できるかもしれない。病気だと嘆くよりも、前向きに考える材料があると思えました」
だからこそ「すべてを病気のせいにしないでほしい」と、長女に告げることができたのだろう。そこには「これからは家族で話し合い、協力しながら、今やるべきことを一生懸命やろう」という思いも込められていた。
治療のため、小学校の頃は2週間に1回、病院に通った。中学校では「高校受験を考えて欠席日数を増やしたくない」と話し合い、家の近くの病院で治療を続けることにした。高校でも授業への影響を最小限に抑えるため、平日の放課後に病院へ行き、点滴を受けながら泊まり、翌朝病院から登校することも試した。
「それは少しきつかったようで、現在は電車とバスを乗り継いで行く病院で治療を続けています。理由は2つで、主治医の先生に診てもらえること。土曜日の午後に対応してもらえること。今は土曜日の午前中で授業が終わると、長女が一人で病院に通っています。帰りは迎えに行くこともありますが、基本は一人。これも、親子で話し合って決めました」

※この内容は2018年11月30日時点のものです。