ポンペ病TOP患者さんとご家族へのメッセージポンペ病と向き合い20年やりたいことは諦めない

患者さんとご家族へのメッセージ

ページを印刷

患者さんとご家族の声

腑に落ちなかった診断

小さい頃から運動には苦手意識があった。小学校、中学校、高校と、体育の授業は決して楽しいものではなかったが、「運動神経の悪さも個性のうちと思っていました」とKさんは語る。少し運動が苦手というだけで、他に異常はなく、日常生活に困ることもない。1993年からは高校の生物教師として教壇に立ち、成長し巣立っていく教え子たちを見送る仕事に大きなやりがいを感じていた。
それまでの人生にはなかった別の時計の針が動き始めたのは、教師として働き始めた翌年のこと。定期健診で肝機能を示す数値が悪いと指摘された。「職場から近い総合病院の内科を受診すると、そこでの診断は肝炎。でもウイルス性ではなく、私はお酒を飲まないのでアルコールが原因でもない。腑に落ちない診断でしたが、積極的に疑う理由はなかったので、医師に言われるままに薬を服用し、食事に注意しながら経過を見ることになりました」
処方通りの服用を続けても、肝機能を示す数値に特段の変化はなかった。
Kさんは自分の体に少しずつ違和感を覚え始めていた。階段を上るとき、足が重く感じるようになり、椅子から立ち上がるとき、意識していないのに手をついて支えるようになっていた。

ポンペ病と診断されるのに3年かかった

不安になったKさんは、セカンドオピニオンとして別の総合病院の整形外科を訪ねたが、骨や関節に異常はなし。「異常があるとしたら筋肉かもしれない」と、神経内科クリニックを紹介してくれた。クリニックでは、血液検査でクレアチンキナーゼ(CK)の値を調べた。医師は「ここでは正確な診断ができない」と、今度は大学病院での検査を勧めたが、Kさんには一瞬、医師の手元のメモが見えた。そこには、「ベッカー型筋ジストロフィーか?」と書かれていた。
「詳しい医療知識はありませんが、筋ジストロフィーがどういうものか、ぼんやりとイメージはできます。ああ、自分はどうなってしまうんだろう。そんな不安を抱えながら、大学病院で検査を受けました」
筋組織の検査や血液検査の結果から、Kさんが「ポンペ病」と診断されたとき、肝炎の治療を始めてから3年が過ぎていた。

※この内容は2018年11月30日時点のものです。