ゴーシェ病TOP患者さんとご家族へのメッセージ生まれたときから、ゴーシェ病とともに~自分を、病気を、知ることで成長できる~

患者さんとご家族へのメッセージ

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患者さんとご家族の声

現在、大学生として勉学に励むTさんがゴーシェ病と診断されたのは、まだ赤ちゃんの時だったそうです。生まれてすぐ診断を受けたのは、同じ病気をもつお姉さんがいたからでした。早くに診断されたため、Tさんは幼い頃から酵素補充療法を受けることができました。治療のための通院を続けながら過ごした学校生活では、大変なことも多かったそうですが、その経験が今、夢に向かって進むTさんにつながっています。そんなTさんにお話を伺いました。

病気だからこそ生まれた夢 -薬に助けられたから、薬で恩返しを

私が大学で文系ではなく理系、そのなかでもバイオサイエンスという分野を選択したのは、自分がゴーシェ病という病気だったからです。この病気がなければ、興味をもつことはなかったと思います。
高校生の時、ふとしたきっかけで、それまで苦手だった理科の先生と話すようになり、病気のことや、進路の悩みについて相談するようになりました。先生は、私のためにいろいろと調べてくださり、さまざまなアドバイスをくれました。両親は勉強が大変な理系に進むことで私の体に負担がかかることを懸念していましたし、知らなくて良いことまで知って傷つくことにならないかとも心配していました。それでも、この道を進もうと思えたのは、その先生のおかげです。そのとき、自分から発信しないと何も始まらないんだな、と思いましたし、逆に言えば、自分から発信すれば物事は変わっていくんだな、とも感じました。
実際、両親が言うように、病気について知ることで辛い部分もあります。大学の課題でゴーシェ病を取り上げたときや、ほかの難病の話を聞いたときなど、自分に大きく響いてしまい、考え込んでしまうこともありました。それでも、以前は病気のことはすべて親任せだったのが、今はきちんと自分で聞いて、考えられるようになりました。病気への向き合い方が大きく変わり、受け入れられるようになったと思います。
ゴーシェ病は姉から命を奪いましたが、今は酵素補充療法があります。この薬があるからこそ、私は助けられているのです。でも、世の中にはまだ病気で苦しんでいる人が大勢います。私はとても恵まれている、と思えるようになった時、医療の分野、なかでも薬に関係する方向に進み、薬で恩返しがしたいと思いました。お医者さんや看護師さん、薬の開発に携わった人など、これまで私を助けてくれた多くの人に恩返しがしたいですし、亡くなった姉のように、まだ苦しんでいる病気の人を助けたい。それが、将来の夢です。

※この内容は2015年2月19日時点のものです。