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ファブリー病Q&A

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病気と治療

ファブリー病では、いつ、どのような症状があらわれますか?

男性では小児期からあらわれやすいのは、手足の痛み(針で刺したような、熱されているような)や胃腸の症状(腹痛、下痢、嘔吐)です。また、汗をかかない・かきにくいといった症状から、夏の暑い日に体調が悪くなる方もいます。
成人してからは、腎臓や脳血管、心臓などの重要な臓器に症状があらわれることもあるほか、耳が聴こえにくいという方もいます。ただし、ファブリー病の方にこれらすべての症状があらわれるわけではありません。また、症状があらわれ始める時期に個人差があることも特徴の1つです。女性では男性よりも症状が軽い傾向があり、成人してから症状があらわれる場合が多いですが、中には男性と同様に小児期から症状があらわれる方もいます。男性と同様、あらわれる症状や、症状があらわれ始める時期には、個人差があります。

point

たとえ現在は症状がなくても、ファブリー病の体質をもっていると体の中では老廃物であるGL-3の蓄積が徐々に進んでいます。ファブリー病は適切な治療により病気の進行を遅らせることができます。治療開始のタイミングや治療方法について、主治医の先生とよく相談しましょう。

治療にかかる費用はどのくらいになりますか?

ファブリー病の実際の治療費はかなり高額になりますが、ライソゾーム病は法律で「指定難病」とされていることから、社会保障制度が充実しています。
18歳未満は「小児慢性特定疾病医療費助成制度」、18歳以上は「指定難病助成制度」によって、高額な治療費の大部分が公費で助成されます。また、お子さんが小児の場合は地方自治体による子ども医療費助成制度もあります。お住まいの地域によって多少の違いはあるかもしれませんが、ほとんど負担がない場合が多いでしょう。
ただし、小児慢性特定疾病医療費助成制度や指定難病助成制度を利用するには、お住まいの市区町村の役所の保健福祉担当課などに申請し医療費受給者証の交付を受ける必要があります。ファブリー病と診断されたら、まずはこの制度を申請しましょう。また、ファブリー病の治療を受けている医療機関が変わったときやお住まいの地域が変わったときなどには改めて手続きが必要となる場合がありますので、その都度しっかりと対応していくことが大切です。

ファブリー病の社会保障制度について

ファブリー病の酵素補充療法は「保険医が投与することができる注射薬」として在宅医療でも使用可能となりました。

厚生労働省 保険医が投与することができる注射薬の対象薬剤の追加について

遺伝カウンセリング

遺伝カウンセリングではどのようなことを相談できますか?

遺伝にかかわる、あらゆることをご相談いただけます。
例えば、ファブリー病がお子さんへ受け継がれる確率、お子さんやパートナー、ご親族の方にいつ、どのように伝えたらよいのか、などについてもご相談いただくことができます。また、病気のことでモヤモヤした気持ちを漠然と抱えているのであれば、認定遺伝カウンセラー®はその気持ちに寄り添いながらあなたのお話を聞いてくれるでしょう。そのほかにも、「私はこれからどのようになっていくのだろう」、「症状がどのように進み、症状が進んだらどんな壁にぶつかるのだろう」といったような不安やお悩みに対して、ほかのファブリー病患者さんの体験談をご紹介できる場合もあります。

point

ご相談の中でも特に多いのは、「私はこれからどうなっていくのだろう」という漠然とした今後への不安です。遺伝カウンセリングでは、不安な気持ちを言語化するお手伝いをいたします。患者さんは、抱える想いを吐き出し、病気に関する適切な説明を繰り返し聞くことで、不安が解消されていくように感じます。

遺伝カウンセリングはだれでも受けられますか?

遺伝に関する不安やお悩みを抱えていたり、問題に直面されている患者さんやそのご家族など、どなたでも受けることができます。
ただし、診断されている患者さんご本人以外の方(パートナーやご親族)が初めてその病気についてご相談いただく際には、ご本人の了承を得られない限り、詳しいことはご説明できません。それは、遺伝カウンセリングは患者さんご本人の遺伝情報を基に医学的、遺伝学的に十分検討したうえでお話しすることを前提としているためです。そのため、基本的にはご本人と一緒に受けていただくことをお勧めします。
遺伝カウンセリングは主に医療機関で受けることができます。臨床遺伝専門医※1や認定遺伝カウンセラー®※2が遺伝に関するお悩みや疑問に対して、科学的根拠や医学的根拠に基づきながらわかりやすく説明してくれます。
すでにファブリー病と診断されていて遺伝カウンセリングを受けたいという方は、主治医の先生にご相談いただくのがよいでしょう。相談できる人がいない場合には、ウェブサイトなどで遺伝部門のあるお近くの医療機関を探して問い合わせるとよいでしょう。
実際に遺伝カウンセリングを受けるかどうかは問い合わせをしたうえで判断することができます。

※1 臨床遺伝専門医

現在、遺伝学的診断(遺伝情報を調べる検査など)は、多くの診療科で通常の医療として取り扱われています。このため、すべての医師が、基本的な遺伝カウンセリングに対応できることが理想とされています。しかし、実際の遺伝にかかわる問題の中には、対応が難しいものもあります。例えば、出生前診断や、これから自分が病気になるかを調べる発症前診断、自分自身は病気になりませんが次世代への影響を調べる保因者診断などです。これらの高度な遺伝カウンセリングに対応する医師が、日本遺伝カウンセリング学会と日本人類遺伝学会が共同で認定している、臨床遺伝専門医です。

※2 認定遺伝カウンセラー®

遺伝にかかわる思いと向き合っていくうえでは、ご自身やご家族の病気や将来について、自分自身で考え、何らかの選択をする必要のある場面を経験することもあります。遺伝子や染色体の検査を受けるかどうかについて考え、決めることはその場面の1つです。それらのような場面では、体や遺伝に関する医学的なことだけでなく、それにまつわる心理的なこと、社会的なことについてもサポートが必要と感じることがあるでしょう。そのような場合に、皆さまが直面する医学的、心理的、社会的な課題を整理したり、医療情報はもとより福祉や療育に関する情報(社会資源)について皆さまにお伝えしたりすることで、ご自身が納得のできるようにサポートするのが、認定遺伝カウンセラー®です。認定遺伝カウンセラー®は医師ではなく、日本遺伝カウンセリング学会と日本人類遺伝学会が共同で認定している遺伝医療の専門家です。

一般社団法人日本遺伝カウンセリング学会 遺伝カウンセリングQ&A

監修:大阪公立大学大学院医学研究科 臨床遺伝学・発達小児医学
医学部附属病院 ゲノム医療センター・ゲノム診療科 病院教授 瀬戸 俊之 先生

大阪公立大学医学部附属病院 ゲノム医療センター 認定遺伝カウンセラー® 馬場 遥香 先生

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