酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)とは?

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ASMDはどのように診断されますか?

酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)は早期に診断して治療を始めることが大切

酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)の症状はさまざまで個人差があります。ほかの病気でもみられる症状が多く、診断が難しいといわれています。
病気の進行スピードはタイプによって異なりますが、何もしないままでいると症状が悪くなってしまうため、できるだけ早く専門医の診断と治療を受けることが大切です。早めに治療を開始できれば、症状をうまくコントロールし、患者さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)を維持・向上させることができます。
酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)の症状には、他の病気でも現れるものがあるため、それらの病気ではないことを確認することが必要です。酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)と間違えられやすい病気には、ゴーシェ病、ニーマンピック病C型、コレステロールエステル蓄積症などがあります。
ご自身やご家族に気になる症状があれば、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
※ニーマンピック病C型はコレステロールや脂質がたまる病気ですが、酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)とは病気になる機序が異なるため、別の病気と考えられています。

酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)の主な診断法は?

症状の確認
酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)はどんな症状が現れますか?で紹介しているような、酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)で現れる症状について確認します。特に、肝臓や脾臓<ひぞう>が腫れてお腹がふくらんでいる、咳込みや息苦しさなど呼吸器に症状がみられる、さらに赤ちゃんで筋肉がやわらかく、ミルクを吸う力が弱い、頻繁に嘔吐する場合には、酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)が疑われます。
眼底検査
眼球の奥にある血管、網膜<もうまく>、視神経を調べます。酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)では眼底にチェリーレッド斑がみられることがあります。
骨髄検査
骨の中にある骨髄組織を採取して、取り出した組織を顕微鏡で観察します。酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)では泡沫<ほうまつ>細胞(ニーマンピック細胞)がみられます。
血液検査
採血して血液中の成分の値を調べます。酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)では血清コレステロール異常がみられ、特にHDLコレステロール値が低いことが特徴的です。
胸部X線検査
間質性肺疾患などの肺の病変があるかどうかを調べます。
酵素活性測定<こうそかっせいそくてい>
血液または皮膚組織を少しとって、スフィンゴミエリンを分解する酵素(酸性スフィンゴミエリナーゼ)の働きの程度を測定します。この酵素が不足している、あるいは働きが弱い場合は酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)と診断されます。
遺伝子検査
スフィンゴミエリンを分解する酵素(酸性スフィンゴミエリナーゼ)をつくる遺伝子の変化があるかどうかを調べます。酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)ではスフィンゴミエリンホスホジエステラーゼ1(SMPD1)遺伝子が変化しています。
酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)が疑われる症状、酵素活性の低下、遺伝子の変化があるかの結果を総合的に検討し、確定診断が行われます。
酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症:ASMD(Acid Sphingomyelinase Deficiency)
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