酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)の主な治療法として、酵素補充療法<こうそほじゅうりょうほう>、骨髄移植<こつずいいしょく>、患者さんに現れている各症状を抑える治療があります。
酵素補充療法
図2 酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)の酵素補充療法
酵素補充療法は、体の中の不足している酵素(酸性スフィンゴミエリナーゼ)を点滴で補う治療法です。この酵素を補充することで、体の中にたまったスフィンゴミエリンが分解され、症状の進行を抑えます(図2)。唯一の治療薬となる酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)の患者さんへの酵素補充療法は、2022年6月より実施できるようになりました。
骨髄移植
- 骨髄は骨の中心部分にあり、赤血球、白血球、血小板などの血液細胞をつくる組織です。骨髄移植は、健康な人から採取した骨髄液を、患者さんの体に点滴で注入します。骨髄移植をすることで、肝脾腫<かんぴしゅ>は改善しますが、中枢神経への効果はないとされています。
各症状を抑える治療
肝疾患
- 症状に応じて薬を使用します。進行して症状が重い場合には、肝臓の移植を受けることがあります。
肺疾患
- 症状に応じて酸素や薬を使用します。間質性肺炎では進行に応じ薬を使った治療に加えて酸素療法や呼吸リハビリテーションをすることがあります。
心疾患
- コレステロール値に異常がある場合には脂質異常症の治療を行います。心臓の血管や弁に異常がみられた場合は治療を行います。
運動機能の低下
- 筋力を高め、柔軟性やバランス能力を高める理学療法を行い、運動能力を維持、回復させます。
栄養・胃腸障害
- 栄養指導を受け、適切な食事をとるようにします。栄養状態が悪化してきた場合、鼻やお腹から消化管内にチューブを通し、流動食を注入して栄養を補給します。
骨疾患
- 症状に応じて薬で治療します。
- 酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症:ASMD(Acid Sphingomyelinase Deficiency)