酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)とは?

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ASMDはどんな病気?

肺、肝臓、膵臓<ひぞう>など全身にさまざまな症状が現れる

酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)は、生まれつき、体の中にある酸性スフィンゴミエリナーゼという酵素の働きが弱い、あるいは酵素がないために、スフィンゴミエリンという成分が分解されずに体の中にたまってしまうことで、全身にさまざまな症状が現れます。お腹のふくらみ(肝脾腫<かんぴしゅ>)から体の異変に気づくことが多いです。酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)は、ニーマン・ピック病(NPD)A型およびB型と呼ばれているライソゾーム病の一種です。
酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)の症状について詳しくはこちら
酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症:ASMD(Acid Sphingomyelinase Deficiency)
ニーマン・ピック病:NPD(Niemann-Pick disease)

症状の現れ方で3つのタイプに分けられる

酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)には、赤ちゃんの時に発症して急速に進行する乳児期発症の内臓神経型ASMD(NPD-A型)、小さな子どもから大人まで幅広い年齢で発症する慢性内臓型ASMD(NPD-B型)と慢性内臓神経型ASMD(NPD-A/B型)の3つのタイプがあります。慢性内臓型ASMD(NPD-B型)と慢性内臓神経型ASMD(NPD-A/B型)の違いは神経症状があるかどうかで、慢性内臓型ASMD(NPD-B型)には神経症状がなく、慢性内臓神経型ASMD(NPD-A/B型)にはけいれん、手足のつっぱりやこわばりなどの神経症状があります。
酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)の3つのタイプについて詳しくはこちら

患者数が少ない病気

酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)は、とてもめずらしい病気で、患者さんの割合は10万人あたり0.4~0.6人と報告されています1)。3つのタイプの中では慢性内臓型ASMD(NPD-B型)の患者さんが多いです。
患者さんの数が少なく、他の病気でもみられる症状が多いため、診断までに時間がかかってしまうことが多いといわれています。診断されたあとは、病気を進行させないように、治療を続けることが大切です。

酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)を含むライソゾーム病の社会保障制度

酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)のように、細胞のライソゾームという小器官で酵素が十分に働かなくなることで症状が現れる病気は、総称して「ライソゾーム病」と呼ばれています。酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)を含む「ライソゾーム病」は国の社会保障制度で、「指定難病」および「小児慢性特定疾患(18歳未満)」に指定され、医療費助成制度の対象となっています。
ライソゾーム病の社会保障制度について詳しくはこちら
  • 1) Kingma SD et al. Best Pract Res Clin Endocrinol Metab 29:145–157, 2015
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