ライソゾーム病患者さんとご家族へのメッセージ

ページを印刷

専門医からのメッセージ

ライソゾーム病とうまく付き合うために 突然、ライソゾーム病という聞きなれない、しかも遺伝子が関係する病気であると診断されたら、誰もがとまどい、途方に暮れるのではないでしょうか。そんな時に、どのように病気に向き合えばよいか、ライソゾーム病を専門とされる先生にお話を伺いしました。 小須賀 基通先生 国立成育医療研究センター ライソゾーム病センター
123

「ゴーシェ病」、「ファブリー病」、「ポンペ病」、「ムコ多糖症」、「酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)」は、ライソゾーム病に含まれます。

病気の原因となる遺伝子の変化は誰でももっている

ライソゾーム病は、遺伝子の変化が原因の病気です。
遺伝子の変化と聞くと、何か特別なことのようなイメージをもたれるかも知れませんが、実は特別なことではありません。どんな人も遺伝子の変化を10個くらいもっているといわれているのです。
このような遺伝子の変化には、片方の親から受け継いだ時に病気として現れるものもあれば、両親から受け継いだ時に初めて病気として現れるものもあります。したがって、多くの親御さんは、お子さんが病気となってはじめて、ご自分が遺伝子の変化をもっていることに気付くのです。
このように、遺伝子の変化が原因の病気は、実は誰にでも起こり得ることといえるでしょう。ですから、患者さんご本人も親御さんも、責任を感じる必要は全くないのです。
とはいえ、遺伝子の変化が原因の病気ということに負い目を感じ、周囲の人々に知られたくないと思う方も少なくないと思います。例えば、カップルのうちどちらか一方に遺伝子の変化がある場合に、「パートナーの親に知られたくない」などと思う方も多いようです。日本と比較すると、海外では少し捉え方が違うように感じます。「個性がある」「体質が強く現れた」というように認識し、それほど特別視しないようです。日本でも早くそのような捉え方ができるようになるとよいと思います。

病気について正しく知ることで将来が見える

ライソゾーム病と診断されて、平常心でいられる方は少ないと思います。「頭が真っ白になり、先生のお話が理解できなかった」、「なぜ自分だけが病気の遺伝子を受け継いだのか」などとショックを受けるのは当然のことです。お子さんが診断されたのであれば、「このまま育てていけるのか」、「学校はどうしたらよいのだろう」といった不安もあると思います。
このような不安を少しでも解消するために大切なのは、正しい知識を身に付けることです。「どうなるか分からない」というのは、とても不安なものです。病気や遺伝について正しく知ることで、将来起こり得ることや、やるべきことを把握でき、冷静に考えられるようになります。私がこれまで出会った患者さんやご家族の多くは、初めはショックと怒りで何も考えられなくても、時間が経つにつれて病気を受け入れられるようになり、前向きに病気と向き合っていらっしゃいます。
この病気のことを正しく知るためには、医師や遺伝カウンセラーに相談するのがよいでしょう。また、インターネットなどで調べるのもよいと思います。ただし、ライソゾーム病は病気の種類や経過が患者さんごとに違いますので、書いてあることの全てが自分やお子さんにも当てはまるとは考えないようにしていただきたいと思います。
123