図3 ヒトの染色体とファブリー病の遺伝子の変化
しかし、最近の報告によると、ファブリー病では片方のX染色体のGLA遺伝子のみに変化がある場合でも症状が現れる人がいることがわかってきました1)。その理由としては、次のように考えられています。女性は2本のX染色体をもっていますが、体の中で実際に働いているのは、2本のうち1本です。どちらの染色体が働くかは胎児の時期にランダムに決められるため、細胞によって働いているX染色体は異なっています。もし、遺伝子に変化のないX染色体が働かなくなり(不活化といいます)、その割合が高くなると、変化のあるGLA遺伝子の働く割合が高くなり、α-GAL酵素の働きが弱くなることがあります。このような場合に、女性でもGL-3が蓄積し、ファブリー病のさまざまな症状が現れると考えられています。