ライソゾーム病患者さんとご家族へのメッセージ

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専門医からのメッセージ

ライソゾーム病とうまく付き合うために 突然、ライソゾーム病という聞きなれない、しかも遺伝子が関係する病気であると診断されたら、誰もがとまどい、途方に暮れるのではないでしょうか。そんな時に、どのように病気に向き合えばよいか、ライソゾーム病を専門とされる先生にお話を伺いしました。 小須賀 基通先生 国立成育医療研究センター ライソゾーム病センター
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「ゴーシェ病」、「ファブリー病」、「ポンペ病」、「ムコ多糖症」、「酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)」は、ライソゾーム病に含まれます。

信頼できる「コアドクター」を見つける

ライソゾーム病は、非常にまれな病気ですので、ライソゾーム病を専門とする医師にきちんと診てもらうことが大切です。
しかし、ライソゾーム病の専門医がいる病院が近くにあるとは限りません。遠くまで通うのは大変ですし、まして体調が悪ければなおさらです。
そこでおすすめなのは、専門医でなくてもよいので、自宅から通いやすい病院で信頼できる「コアドクター(主治医)」を見つけることです。普段はコアドクターに診てもらい、年に1回程度、定期的に専門医を受診して経過を確認してもらうと安心だと思います。こうした場合には、コアドクターと専門医に情報を共有してもらうことが大切です。
また、ライソゾーム病はさまざまな症状が現れるため、それに応じて循環器科や耳鼻科などいろいろな診療科を受診する必要があるかもしれません。そのような時も、コアドクターが受診すべき診療科を判断して紹介してくれると思います。
信頼できるコアドクターにはなかなか出会えないこともありますが、一生お世話になるかもしれないドクターです。あきらめずにじっくりと探してみてください。

大切なのは治療を続けること

ライソゾーム病は、かつては治療できない病気と考えられていましたが、最近は治療法の開発が進み、ゴーシェ病やファブリー病、ムコ多糖症(Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅳ型・Ⅵ型)、ポンぺ病など治療できるライソゾーム病が増えています。ライソゾーム病は、特定の酵素が足りないために、いらなくなった物質を体内で処理できず、たまってしまうことが原因で起こる病気です。そのため、定期的に足りない酵素を補充すれば、ある程度症状が改善し、将来のリスクも減らすことができるのです。
この治療はずっと続けることが大切です。中断すれば病気が進行してしまいます。しかし、症状がまだ現れておらず自覚症状がない患者さんや、成長して親の手を離れた患者さんなどは、治療をやめてしまうケースもあります。
治療を続けるためのモチベーションを維持するためには、なぜ治療が必要なのかを患者さん自身がきちんと理解する必要があります。お子さんがライソゾーム病なのであれば、ある程度の年齢に達したら病気について説明していただきたいと思います。治療の意義がわからない、お子さんに説明してほしいなど、困ったことがありましたら、医師や看護師などにぜひ相談してみてください。
また、できるだけ無理なく日常生活に治療を組み入れられるように、環境を整えることも大切です。家庭や学校・職場など、身の回りの環境を、治療を続けやすいように工夫してみてください。